砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「宮(みや)様がお落ちになったと伺いまして、はい」

「私が?
 まさか。
 落ちるほど高いところにはまず行かないね。
 それより、この子。
 拾ったんだ、見てやって」

「はい、ただいま」

 薬師の所見では、【異常なし】ということだった。

 僕に記憶がないことを除けば。

「ねぇ、なんて名前?」

 【東宮様】が好奇心に満ちた目で聞いてくる。

「僕、その。
 ……わかんない」

 消え入りそうな声で、答えるのが精一杯だった。

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