砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「どうしよう、夜になる」

 橙色だった空は、その後真っ赤に染まり、ついには色を消そうとしていた。
 【僕】は、薬師におぶられて近くの豪邸へと連れられた。

 豪邸、というのもおかしな表現だが、嵐山の中に建っているのが似つかわしくないくらい素敵な建物だったのだ。
 調度品も皆、一流である。

「ここにいればいい」

「君、誰?なんて呼べばいい?」

 助けてくれた【東宮】に、【僕】が問いかける。

「常若(ときわか)」

 聞いた後、【僕】は思い切り膝に顔を埋めてしまった。

 僕には名乗る名前がない……

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