砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「龍星、お姫様がちゃんと謝りたいって」

 雅之が外に居る龍星に声を掛ける。
 毬は立ち上がって、部屋の外へと出た。

 龍星は壁にもたれて瞳を閉じていた。
 その近くに楓もうろたえ気味に立っている。

「龍、心配掛けてごめんなさい」

 震える声は細く、今にも折れてしまいそうだ。
 龍星はゆっくり瞳を開け、ふわりと微笑んだ。
 周りの空気すら一気に華やぐ。

「叱って悪かった。
 毬が無事なら、それでいい」

「姫様、左大臣家に帰られますか?」

 おずおずと、楓が口を開いた。


 毬は驚いて弾かれたように龍星を見上げる。

「嫌よ、龍っ

 どうして?毬が悪い子だから?」

「いいえ。

 でも、毬が心配で何も手につかなくなる。

 これ以上、自分を抑える自信がない」

 龍星は自嘲的に呟いたが、毬がその真意を図れるはずもない。

「嫌っ」

 立ち尽くした毬の瞳から、涙が溢れていた。
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