砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「龍星」

 目の前で起こった出来事に、一瞬照れて言葉を失ってしまったが、それでも雅之は口を開いた。

「説教なら聞きたくない」

 表情こそ無表情を保っているが、龍星はまるで拗ねた子供だ。

「説教できる立場じゃないさ。
 ただ、帝が」

「あの男が?」

 龍星は訝しげに顔をあげて記憶を辿る。


 そういえば、あの男、出掛けに何か意味深なことを口にしてはいなかっただろうか?
 そもそも、千を娶ったときですら【あの人】に似ているから捕まえたと公言して憚らなかった男だ。
 
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