砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 話している内に、その光景が帝の頭に甦る。

 眩しいほど生気の宿る新緑の季節に、あれは、空からやってきたのだ。

 龍星は唐突に始まった話に、ただ耳を傾けるほかない。

「人の形をしていたから、慌てて薬師は呼んだよ。
 でも、瞳を閉じているあの子、とても綺麗だったんだ。
 どこから来たのか、どうして来てくれたのか。

 聞きたかったのに全然教えてくれなくて。
 少なくとも一緒にいる間は【男の子】だった。
 着ている服も、喋り方も、遊び方も。あまりにも顔が綺麗なことを除けば、何もかも、完璧なくらい【男の子】で。

 その頃は知らなかったんだ。龍星みたいに顔が綺麗な男性も居るってことはね。

 とにかく、初めて出来た年下の友達に、夢中になって遊んだよ」


 得意げに帝が話すのは、龍星が見たことの無い昔の毬のことだろう。

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