砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「なぜですか?
 怖いのでしょう?」

 怖くて怖くてたまらなくて、都随一と噂の陰陽師相手に短刀で勝負を挑もうとするほど、追いつめられているというのに。
 この期に及んで彼女は、何を遠慮しているのだろうか。


「大丈夫。これさえあれば、今夜からはゆっくり眠れますよ。
 それとも、怪しい陰陽師の渡すものなど怖くて受け取れませんか?」

 毬は慌てて首を横に振る。

「そうではないの。
 安倍様のお噂は私もよく存じております」

 それから、そっと護符に手を触れた。


「――一つだけ、お聞きしてもよろしいですか?」

「いくつでも、どうぞ」

 龍星の言葉に、毬は困った顔をしたまま唇を開いた。

 
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