砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
二の四
ドンドンッ
ドンドンッ
寝室に漂う甘く静かな空気を、派手な音が切り裂いた。
眠りから強引に起こされた毬が、不安そうに瞳を開けた。
「安倍様っ」
遠くから聞こえる、悲鳴に似た怒声。
聞き覚えのある女の声に、龍星はため息をつく。
が、一向に動く気配のない龍星に毬が口を開く。
「龍、呼ばれているよ。行かないと」
「せっかく毬がここにいるのに?」
毬はふありと笑い、空気をより一層甘く染める。
「私はずっと居るんでしょう?」
「そうだよ。俺もずっとこうしていたい」
龍星らしからぬ甘えた発言に、毬がクスクス笑う。
龍星が見たくてたまらなかった、無邪気に笑う毬がそこにいた。
「だったら私も一緒に行く。それで良い?」
二人が囁くような会話を楽しんでいる間も、扉を叩く音と龍星を呼ぶ声は大きくなるばかりだ。
龍星は諦めたように息を吐き、起き上がった。
「分かった、俺が行ってくるよ」
そう言って寝屋を後にした龍星の表情は、いつもの冷静沈着さを取り戻していた。
ドンドンッ
寝室に漂う甘く静かな空気を、派手な音が切り裂いた。
眠りから強引に起こされた毬が、不安そうに瞳を開けた。
「安倍様っ」
遠くから聞こえる、悲鳴に似た怒声。
聞き覚えのある女の声に、龍星はため息をつく。
が、一向に動く気配のない龍星に毬が口を開く。
「龍、呼ばれているよ。行かないと」
「せっかく毬がここにいるのに?」
毬はふありと笑い、空気をより一層甘く染める。
「私はずっと居るんでしょう?」
「そうだよ。俺もずっとこうしていたい」
龍星らしからぬ甘えた発言に、毬がクスクス笑う。
龍星が見たくてたまらなかった、無邪気に笑う毬がそこにいた。
「だったら私も一緒に行く。それで良い?」
二人が囁くような会話を楽しんでいる間も、扉を叩く音と龍星を呼ぶ声は大きくなるばかりだ。
龍星は諦めたように息を吐き、起き上がった。
「分かった、俺が行ってくるよ」
そう言って寝屋を後にした龍星の表情は、いつもの冷静沈着さを取り戻していた。