砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「龍星」

 玄関から親友の声がした。

 龍星は部屋を出て、一緒に来た毬を捕まえた。彼女が不用意にあの残酷な死体を見ないように。

 そして雅之に、殺人事件のため検非違使に連絡するよう頼んだ。


「俺は何をすれば?」

 毬が龍星の腕の中で藻掻きながら問う。
 龍星はため息をつく。

「出来れば、うちでゆっくりしていて欲しかった」

「駄目だよ。俺だって龍の役に立ちたい。
 ただのお姫様ではいたくないんだ」

 真剣な眼差しが龍星を射抜く。無理に止めたら暴走しそうな、熱を帯びた瞳で。
< 159 / 463 >

この作品をシェア

pagetop