砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
二の七
「今日は一人かい?」
馬主の翁に言われて、毬はこくりと頷いた。
御所を飛び出した毬は、気付いたら東河の近くの馬舍に来て、外から馬を眺めていた。
「そうしていると、一層お姫様だね」
翁は毬の豪奢な着物を褒める。
「でも、これでは馬に乗れないわ」
「そうでもないよ。とはいえ、まあそんなに素敵な着物が汚れるのも困るか。
着物、貸そうか?」
「いえ。今日は見るだけで……」
「そう?
ではこちらにどうぞ」
毬は翁に誘われるがまま、着いて行く。
そこでは思いがけず雅之が流鏑馬の練習をしていた。
馬に乗って、弓を構えて的を射る。
真剣な眼差し。
肌けた着物。
しなる筋肉。
風を切る矢。
ビュン、と派手な音がして矢は惜しくも的を外す。
雅之はもう一本矢を取ると、今度は右から左に馬を走らせ矢を放った。
ビュン。
次はギリギリ的の端に当たった。
しかし、雅之は満足することもなく再度弓を構える。
鋭い視線は、獲物を狙う鷹のごとく、的だけを強く見つめていた。
馬主の翁に言われて、毬はこくりと頷いた。
御所を飛び出した毬は、気付いたら東河の近くの馬舍に来て、外から馬を眺めていた。
「そうしていると、一層お姫様だね」
翁は毬の豪奢な着物を褒める。
「でも、これでは馬に乗れないわ」
「そうでもないよ。とはいえ、まあそんなに素敵な着物が汚れるのも困るか。
着物、貸そうか?」
「いえ。今日は見るだけで……」
「そう?
ではこちらにどうぞ」
毬は翁に誘われるがまま、着いて行く。
そこでは思いがけず雅之が流鏑馬の練習をしていた。
馬に乗って、弓を構えて的を射る。
真剣な眼差し。
肌けた着物。
しなる筋肉。
風を切る矢。
ビュン、と派手な音がして矢は惜しくも的を外す。
雅之はもう一本矢を取ると、今度は右から左に馬を走らせ矢を放った。
ビュン。
次はギリギリ的の端に当たった。
しかし、雅之は満足することもなく再度弓を構える。
鋭い視線は、獲物を狙う鷹のごとく、的だけを強く見つめていた。