砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 ふう、と毬は安堵の息を吐いて龍星の背中から離れて、雅之の傍へと歩み寄る。

「雅之、ごめんね。
 今度キツネに呼ばれたら、私、どうしたら良いのかしら?」

 ふわりと、まるで雅之の傍から己の傍へと引き寄せるかのように手を伸ばし、龍星が毬の頭を撫でた。

「その時は、俺を呼んで」

「うん、わかった」


 三人で酒を酌み交わす。
 もっとも、毬はまだ酒の美味さが分からないので、空の盃を前にしているだけだが。

 太一の母親は、結局、狐に操られて夫を殺したという扱いになり、無罪放免となったが、その後自ら川に飛び込み命を絶ったということだった。




 毬がやりきれない思いで庭に目をやる。迷い込んだ蛍が見えた。



 話題はやがて、軽いものへと移っていく。

 盛り上がる宴はまだまだ長く続きそうであった。

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