砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 しかし、華としてはいつも元気に飛び回っている毬が、だらだらと寝込み続けているのは受け入れられないことだった。

 加えて。

 日に日に親密度を増していく毬と龍星にやきもきしていたのかもしれない。

 華は【人でないもの】にも関わらず、長い間擬人化しているせいか、人並みの感情を抱き始めたようでもあった。

「今日は鰻を手に入れましたの」

 白蒸しした鰻が皿に載ってやってきた。

 毬はその湯気と匂いに、思わず食欲を誘われて身体を起こす。柔らかい食感と絶妙な塩味に思わず箸が進んだ。 


「とても良い香りだ」

 唐突な声に、毬は思わず箸を落とした。


「驚かせたね」

 御所に出掛けたはずの龍星がそこにいた。
 何度見ても見慣れることがないほどに、整った顔立ちは美しく、毬は思わずため息を零しそうになる。
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