砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
一の四
「龍星、今日はこちらに来ているのだろう」
書庫で一心不乱に書物を読み漁っていた龍星は、近づいてくる騒々しさに眉を潜めた。
あの偉そうな態度、横柄なものいい。
何をとっても気に入らない。
「安倍殿。
帝がすぐそこまでこられています」
状況を察しているに違いないのに、書物から目を離さない龍星に困惑を隠さずに、同僚が声をかける。
今、忙しいと口を開こうとした瞬間。
部屋に人が入ってきた。
「龍星」
予想外に自分を呼ぶ声が帝のものではなかったので、驚いて顔を上げた。
困り顔の雅之がそこにいた。
「……どうした、雅之」
「ほら、雅之が居れば龍星も口を利いてくれる」
その後ろでは、帝が無邪気に笑っていた。
今年二十歳になった帝は、まだまだ子どもっぽさが抜けないところがある。龍星は遠慮なく帝を睨みつける。
「雅之も私も業務に追われています。今日のところはお引き取り下さい」
同僚たちが青ざめているが、知ったことではない。
皆が寄ってたかって甘やかすから図に乗るのだ。
「何を言う。
わざわざ私自ら出向いてきたのだから、話を聞いてもらうまではここを動かぬぞ」
書庫で一心不乱に書物を読み漁っていた龍星は、近づいてくる騒々しさに眉を潜めた。
あの偉そうな態度、横柄なものいい。
何をとっても気に入らない。
「安倍殿。
帝がすぐそこまでこられています」
状況を察しているに違いないのに、書物から目を離さない龍星に困惑を隠さずに、同僚が声をかける。
今、忙しいと口を開こうとした瞬間。
部屋に人が入ってきた。
「龍星」
予想外に自分を呼ぶ声が帝のものではなかったので、驚いて顔を上げた。
困り顔の雅之がそこにいた。
「……どうした、雅之」
「ほら、雅之が居れば龍星も口を利いてくれる」
その後ろでは、帝が無邪気に笑っていた。
今年二十歳になった帝は、まだまだ子どもっぽさが抜けないところがある。龍星は遠慮なく帝を睨みつける。
「雅之も私も業務に追われています。今日のところはお引き取り下さい」
同僚たちが青ざめているが、知ったことではない。
皆が寄ってたかって甘やかすから図に乗るのだ。
「何を言う。
わざわざ私自ら出向いてきたのだから、話を聞いてもらうまではここを動かぬぞ」