砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
少年は無表情で、大またで歩き陰陽寮へと向かう。
途中、近衛府に勤める雅之と偶然すれ違ったが、何の反応も見せなかった。
「龍星?」
その背を追う龍星をも雅之は目にし、思わず声を掛ける。
「今のは」
その質問に、龍星は険しい顔でかぶりを振り、周りのものには聞こえないような小さな声で言った。
「思った以上にややこしい話になりそうだ。
雅之、真実を知る覚悟が持てるのならば今宵うちに来てくれ。
無理強いはしない」
……真実を知る覚悟。
龍星は自分で言った言葉に身を刺されそうになった。
今朝方この腕に抱きしめたばかりの、大好きな姫は、今何処に行ってしまったのだろうか。
しかし、立ち止まっているわけにもいかなかった。
陰陽寮に戻った少年は、変わらず伏目がちに座っていた。
まるで、その姿は誰にも見えないとでも言うように。
さすがに、人目のあるそこで何かを問いただすわけにもいかず、龍星は最低限の仕事を適当にこなしながら、ひたすら、帰宅時刻が来るのを待つほかなかった。
途中、近衛府に勤める雅之と偶然すれ違ったが、何の反応も見せなかった。
「龍星?」
その背を追う龍星をも雅之は目にし、思わず声を掛ける。
「今のは」
その質問に、龍星は険しい顔でかぶりを振り、周りのものには聞こえないような小さな声で言った。
「思った以上にややこしい話になりそうだ。
雅之、真実を知る覚悟が持てるのならば今宵うちに来てくれ。
無理強いはしない」
……真実を知る覚悟。
龍星は自分で言った言葉に身を刺されそうになった。
今朝方この腕に抱きしめたばかりの、大好きな姫は、今何処に行ってしまったのだろうか。
しかし、立ち止まっているわけにもいかなかった。
陰陽寮に戻った少年は、変わらず伏目がちに座っていた。
まるで、その姿は誰にも見えないとでも言うように。
さすがに、人目のあるそこで何かを問いただすわけにもいかず、龍星は最低限の仕事を適当にこなしながら、ひたすら、帰宅時刻が来るのを待つほかなかった。