砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
三の四
「龍星」
名前を呼ばれて、我に返った。
日は既に落ちて、屋敷の外は闇に包まれている。
帰宅した龍星は、自室で書物を読み耽っていたのだが、いつの間にか考え事をしていたようだ。
一条戻り橋からの、雅之到着の知らせにも気づかなかった。
「ああ、雅之」
「大丈夫か?ひどく顔色が悪い……」
「残念ながら、あまり、大丈夫とは言いがたいな」
龍星は疲れた表情そのままに、苦笑を浮かべた。
雅之はとりあえず、預かった書状を龍星に渡す。
龍星が飛ばしてきた式の頼みに従って、陰陽博士の賀茂光吉(かものみつよし)から預かったものだ。
「賀茂殿は、何と?」
「『お困りのことがおありでしたら、いつでもご連絡を』と言われていたぞ」
雅之は、40歳になる光吉の落ち着いた口調を真似て言った。
名前を呼ばれて、我に返った。
日は既に落ちて、屋敷の外は闇に包まれている。
帰宅した龍星は、自室で書物を読み耽っていたのだが、いつの間にか考え事をしていたようだ。
一条戻り橋からの、雅之到着の知らせにも気づかなかった。
「ああ、雅之」
「大丈夫か?ひどく顔色が悪い……」
「残念ながら、あまり、大丈夫とは言いがたいな」
龍星は疲れた表情そのままに、苦笑を浮かべた。
雅之はとりあえず、預かった書状を龍星に渡す。
龍星が飛ばしてきた式の頼みに従って、陰陽博士の賀茂光吉(かものみつよし)から預かったものだ。
「賀茂殿は、何と?」
「『お困りのことがおありでしたら、いつでもご連絡を』と言われていたぞ」
雅之は、40歳になる光吉の落ち着いた口調を真似て言った。