砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
三の五
一方。
縋り付いてくる毬の身体を無理矢理引き離し、牛車に乗り込んだ龍星の心も揺れていた。
龍星が今まで自邸に住まわせている毬に手を出さなかったのには、もちろん幾つかの理由がある。
毬の気持ちに確信が持てなかったから。
毬に幼さを感じていたから。
一方的な情熱で、毬の人生を巻き込んではいけないと思ったから。
そして、身分の違いが気になっていたから。
彼女は左大臣家の姫だ。
姉の千を見ても分かるとおり、簡単に帝の正妻にまでなれるような家柄の娘なのである。
しかし、そのようなことはどれも瑣末なことであった。
一番強い原因は――
縋り付いてくる毬の身体を無理矢理引き離し、牛車に乗り込んだ龍星の心も揺れていた。
龍星が今まで自邸に住まわせている毬に手を出さなかったのには、もちろん幾つかの理由がある。
毬の気持ちに確信が持てなかったから。
毬に幼さを感じていたから。
一方的な情熱で、毬の人生を巻き込んではいけないと思ったから。
そして、身分の違いが気になっていたから。
彼女は左大臣家の姫だ。
姉の千を見ても分かるとおり、簡単に帝の正妻にまでなれるような家柄の娘なのである。
しかし、そのようなことはどれも瑣末なことであった。
一番強い原因は――