砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「いえ、とてもお悩みのご様子です」
龍星はなんの感情も見せず、さらりと質問に答える。
「はんっ。
悩むも何も、あれが奥になど上がったら宮中が潰れてしまうわ。
帝はあれのことを何もご存じないのだろうなぁ」
左大臣は苦々しい口調で言う。
その【あれ】を龍星に押し付けたことなどまるで忘れたかのように言う。
「いかがでしょうか、私には帝の真意は分かりかねますが」
少なくとも左大臣よりはずっと、帝の真意は分かっているが、龍星は丁寧な口調で調子をあわせる。
「ただ、私もそんな小手先の誤魔化しよりも、一層のこと別荘かこちらかで休養と称してお休みいただいておいたほうが安全だと思うのですが」
「おお、そうよのお。
世間には病気とでも思わせておけばよいわ。
さすが、安倍殿」
その意見に乗った狸は、早速腹の中で何かを算段しているようだ。
おそらくは別の娘を帝の側室に入れる算段とか――
まぁ、それはそれでいたし方あるまい。と、龍星は気にしないことにした。
毬と千は同じ母から生まれた姉妹だが、腹違いの兄弟姉妹は、もちろん他にも存在するのだ。
龍星はなんの感情も見せず、さらりと質問に答える。
「はんっ。
悩むも何も、あれが奥になど上がったら宮中が潰れてしまうわ。
帝はあれのことを何もご存じないのだろうなぁ」
左大臣は苦々しい口調で言う。
その【あれ】を龍星に押し付けたことなどまるで忘れたかのように言う。
「いかがでしょうか、私には帝の真意は分かりかねますが」
少なくとも左大臣よりはずっと、帝の真意は分かっているが、龍星は丁寧な口調で調子をあわせる。
「ただ、私もそんな小手先の誤魔化しよりも、一層のこと別荘かこちらかで休養と称してお休みいただいておいたほうが安全だと思うのですが」
「おお、そうよのお。
世間には病気とでも思わせておけばよいわ。
さすが、安倍殿」
その意見に乗った狸は、早速腹の中で何かを算段しているようだ。
おそらくは別の娘を帝の側室に入れる算段とか――
まぁ、それはそれでいたし方あるまい。と、龍星は気にしないことにした。
毬と千は同じ母から生まれた姉妹だが、腹違いの兄弟姉妹は、もちろん他にも存在するのだ。