砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「飲んでいくだろう?」

 龍星の有無を言わせない誘い文句に、雅之はつい頷いてしまう。

 この男が本気になって誰かを誘ったら、落ちるのなんてわけないだろうな……などと、思わぬ方向にまで思考が飛び、雅之は内心苦笑した。

「ああ、迷惑でなければ」

 雅之の返答に、くすりと、龍星は笑いを零す。

「迷惑なのにわざわざ誘うと思う?
 俺はそんなに面倒な男ではない」

「分かっているさ」

 雅之は諦めたように返事を返した。


 付き合ってくれたお礼にと、龍星は上物の酒を振舞ってくれた。
 もともと、この事件に関わるとき左大臣からもらったものだと言う。

 滅多にお目にかかれない、極上の酒を、しばらく二人で静かに味わった。
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