砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「毬は、双子の兄に憑依されている……ということなのか?」

 雅之が、ぽつりと口を開く。

「まず、間違いないだろうな」

 龍星は静かな口調で頷いた。

 左大臣家の家柄の人間を『遠くに出す』ということは、おそらく出家させた、ととらえて間違いないだろう。

 濃い血縁と、修行によって得た力――


 それらを利用したからこそ、毬の双子の兄は、これだけの結界をかいくぐって憑依できたのだと想像することはそれほど難しいことではなかった。

「何のためにそんなことを……」

 雅之は、まるで己の体の一部が痛むかのように苦しげに眉間に皺を寄せる。

「それも確認せねばなるまいな」

 龍星は、決意を込めた声でそう言った。
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