砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「ところで、千様。弟君は今、どちらに?」
涼やかな声が龍星の口から響く。
人をはっと惹きつける様な、魅力的な声だ。
途端、千の顔色が変わった。
「ここのところ、毬様が夢でいつもうなされているのです。
できれば助けてあげたいのですが、お心あたりはございませんか?」
龍星は甘い笑みを浮かべたまま、穏やかな声でそう聞いた。
千はふぅ、と、ため息をつく。
「折角の龍星の頼みだから包み隠さずお答えしてあげたいところなんだけど……。
詳しいことは私も知らないの」
そうですか、と沈みかけた龍星を見て、千は艶やかに微笑んだ。
「でも、龍星。
そうね、あなたが頻繁に私のところに訪ねてきてくれるというのであれば、新事実を教えてあげても宜しくてよ」
龍星は一瞬の躊躇も見せず優雅に頷いて見せた。
「宜しいですよ、千様」
「交渉成立ね」
そうして、一呼吸おいて、続ける。
「あの子は、身体が弱かったの。
生まれて1年経つ前に死にそうになってね。
それで、父がどこかに祈祷か何かを頼んだのよね。
せめて双子である毬と同じくらいに元気に、と。
最初の1年をそれに費やしてしまって、世間へのお披露目も遅れてしまったの。
だから、あの二人の年齢は本当は1年、違う。
毬は今年13歳」
しれっと、千はそう言った。
「もちろん、あの子も知らないんだから言っては駄目よ。
雅之殿も、よろしくね」
「どちらに祈祷を?」
龍星がさらに問う。
その表情からは、残念ながらいつもの冷静な仮面が少しだけ剥がれていた。
「よく分からないの。その件に関しては両親共に秘密主義だったから。
神か、仏か、狐か、狸か。
もしかしたら陰陽師かもしれなくてよ」
千は交渉が成立したことが嬉しいのか、軽やかな笑みを浮かべてそう言った。
涼やかな声が龍星の口から響く。
人をはっと惹きつける様な、魅力的な声だ。
途端、千の顔色が変わった。
「ここのところ、毬様が夢でいつもうなされているのです。
できれば助けてあげたいのですが、お心あたりはございませんか?」
龍星は甘い笑みを浮かべたまま、穏やかな声でそう聞いた。
千はふぅ、と、ため息をつく。
「折角の龍星の頼みだから包み隠さずお答えしてあげたいところなんだけど……。
詳しいことは私も知らないの」
そうですか、と沈みかけた龍星を見て、千は艶やかに微笑んだ。
「でも、龍星。
そうね、あなたが頻繁に私のところに訪ねてきてくれるというのであれば、新事実を教えてあげても宜しくてよ」
龍星は一瞬の躊躇も見せず優雅に頷いて見せた。
「宜しいですよ、千様」
「交渉成立ね」
そうして、一呼吸おいて、続ける。
「あの子は、身体が弱かったの。
生まれて1年経つ前に死にそうになってね。
それで、父がどこかに祈祷か何かを頼んだのよね。
せめて双子である毬と同じくらいに元気に、と。
最初の1年をそれに費やしてしまって、世間へのお披露目も遅れてしまったの。
だから、あの二人の年齢は本当は1年、違う。
毬は今年13歳」
しれっと、千はそう言った。
「もちろん、あの子も知らないんだから言っては駄目よ。
雅之殿も、よろしくね」
「どちらに祈祷を?」
龍星がさらに問う。
その表情からは、残念ながらいつもの冷静な仮面が少しだけ剥がれていた。
「よく分からないの。その件に関しては両親共に秘密主義だったから。
神か、仏か、狐か、狸か。
もしかしたら陰陽師かもしれなくてよ」
千は交渉が成立したことが嬉しいのか、軽やかな笑みを浮かべてそう言った。