砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「愛された?
何の話?
突然抱きしめられたら誰だって逃げるわよっ!」
イライラがこみあげてきた毬は、初対面の見知らぬ女相手に声を荒げる。
「あんなに素敵な殿方なのに?」
女房は、心底不思議そうに首を傾げる。
むしろ首を傾げたいのはこっちだと、毬は思う。
「す……素敵とかどうとか関係ないわよ。
人の気持ちも考えずに、気持ちを押し付けてくるなんてろくな殿方じゃないに決まってるわ」
毬の言葉を受けて、きらり、と、女の瞳が暗闇で光った。
毬の背筋にぞくりと、寒気が走る。
「人の気持ちなんて考えてたら、恋なんて出来るわけないわ。
世間知らずのお姫様」
ゆっくりと、女の声のトーンが下がっていく。
同時に、土倉の温度が、一気に下がっていく。
――違う。あれは、【人】じゃない。
毬は懐に隠し持っていた短剣を、ぎゅっと握り締めた。
何の話?
突然抱きしめられたら誰だって逃げるわよっ!」
イライラがこみあげてきた毬は、初対面の見知らぬ女相手に声を荒げる。
「あんなに素敵な殿方なのに?」
女房は、心底不思議そうに首を傾げる。
むしろ首を傾げたいのはこっちだと、毬は思う。
「す……素敵とかどうとか関係ないわよ。
人の気持ちも考えずに、気持ちを押し付けてくるなんてろくな殿方じゃないに決まってるわ」
毬の言葉を受けて、きらり、と、女の瞳が暗闇で光った。
毬の背筋にぞくりと、寒気が走る。
「人の気持ちなんて考えてたら、恋なんて出来るわけないわ。
世間知らずのお姫様」
ゆっくりと、女の声のトーンが下がっていく。
同時に、土倉の温度が、一気に下がっていく。
――違う。あれは、【人】じゃない。
毬は懐に隠し持っていた短剣を、ぎゅっと握り締めた。