砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
三の七
龍星が退社時刻を早めて家に帰ると、毬は退屈そうにぼんやり庭を眺めていた。
……あれを、いつまでも閉じ込めておけるものではないな。
龍星は苦笑しながら、傍へと寄る。
「ただいま、毬」
毬はよほど深い考え事でもしていたのだろう。その声で初めて龍星の存在に気づいたようで、弾かれたように顔をあげた。
「あれ?まだ夕刻には早いけど」
驚く顔を抱き寄せ、唇ごと言葉を奪う。
「連れないこと言わないで。
素敵なものを手に入れたからすぐに見せたくて」
「なぁに?」
くるりと、猫の目のようにあっという間に表情が変わる。
龍星は懐から、あるものを取り出しそっと、毬の手に乗せる。
ひんやりした青銅製のそれは、ずしりと重い。
「これ、なぁに?」
モノを見ても尚、用途が分からず毬は首を傾げ上目遣いに龍星を見る。
「なんだと思う?」
その様子があまりにも可愛いので、龍星は答えを先送りにした。
うーん、と、毬はそれを手に持つ。
はじめてみたその青銅製のものは、小型の鐘の形をしていた。
鈴のようではあるが、それにしては大きい。
が、大きいといえども鈴の様ではある。
毬は上側を手に持ち、ゆすってみた。
カランカラン、と、それは気持ちの良い音を鳴らす。
毬はにっこり笑った。
龍星が見たかった、可愛らしくも甘やかで蕩けるような笑顔。
「これ、素敵な音ね」
……あれを、いつまでも閉じ込めておけるものではないな。
龍星は苦笑しながら、傍へと寄る。
「ただいま、毬」
毬はよほど深い考え事でもしていたのだろう。その声で初めて龍星の存在に気づいたようで、弾かれたように顔をあげた。
「あれ?まだ夕刻には早いけど」
驚く顔を抱き寄せ、唇ごと言葉を奪う。
「連れないこと言わないで。
素敵なものを手に入れたからすぐに見せたくて」
「なぁに?」
くるりと、猫の目のようにあっという間に表情が変わる。
龍星は懐から、あるものを取り出しそっと、毬の手に乗せる。
ひんやりした青銅製のそれは、ずしりと重い。
「これ、なぁに?」
モノを見ても尚、用途が分からず毬は首を傾げ上目遣いに龍星を見る。
「なんだと思う?」
その様子があまりにも可愛いので、龍星は答えを先送りにした。
うーん、と、毬はそれを手に持つ。
はじめてみたその青銅製のものは、小型の鐘の形をしていた。
鈴のようではあるが、それにしては大きい。
が、大きいといえども鈴の様ではある。
毬は上側を手に持ち、ゆすってみた。
カランカラン、と、それは気持ちの良い音を鳴らす。
毬はにっこり笑った。
龍星が見たかった、可愛らしくも甘やかで蕩けるような笑顔。
「これ、素敵な音ね」