砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
龍星は、黒曜石の瞳を煌かせて、とびきりの笑顔を毬に向ける。
「しなくていいって言ってるの。
季節の草が生えるたびに、ここに移させているんだ。
華の精に、ね」
「華が?」
毬は目を丸くし、駆け出そうとした。
龍星が慌ててその手を掴む。
「何処に行くの?」
「華に、謝って来ないと」
毬の目は真剣だ。
相手が誰であろうと自分の非があれば即座に謝らなければ気がすまないのだ。
「必要ないよ。華も分かってる」
「でも」
「いいの。毬がわざわざ女房の居る部屋に謝りになんていかないでしょう?
左大臣家でそんなこと、した?」
瞳を覗き込まれて問われると嘘をつくわけにもいかず、毬はふるふると首を横に振る。
「同じようにしてって言ったよね?」
「でも、毬が傷つけたから」
「傷ついてないよ。
草なんて、どうせ枯れる。
あれは事故だ。毬はこの庭をめちゃくちゃにしたかったわけじゃないだろう?」
こくり、と、毬が頷いたのを見て龍星は続ける。
「頼むからそんなに思い悩まないで。
でないと、毬からますます目が離せなくなる」
「しなくていいって言ってるの。
季節の草が生えるたびに、ここに移させているんだ。
華の精に、ね」
「華が?」
毬は目を丸くし、駆け出そうとした。
龍星が慌ててその手を掴む。
「何処に行くの?」
「華に、謝って来ないと」
毬の目は真剣だ。
相手が誰であろうと自分の非があれば即座に謝らなければ気がすまないのだ。
「必要ないよ。華も分かってる」
「でも」
「いいの。毬がわざわざ女房の居る部屋に謝りになんていかないでしょう?
左大臣家でそんなこと、した?」
瞳を覗き込まれて問われると嘘をつくわけにもいかず、毬はふるふると首を横に振る。
「同じようにしてって言ったよね?」
「でも、毬が傷つけたから」
「傷ついてないよ。
草なんて、どうせ枯れる。
あれは事故だ。毬はこの庭をめちゃくちゃにしたかったわけじゃないだろう?」
こくり、と、毬が頷いたのを見て龍星は続ける。
「頼むからそんなに思い悩まないで。
でないと、毬からますます目が離せなくなる」