砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 毬としては庭に草を埋めるのも自分でやりたかったのだが、華に断られてしまった。

「こだわりがありますので、こちらに任せていただけませんか?」

 真剣な眼差しでそう訴えられたら、人の仕事を取るわけにもいかない。

「分かったわ。
 ……あの、華さん、ありがとう」

 華はふわりと笑った。

「お礼なんてとんでもないです。
 気になさらないでください」

「毬、あまり華を困らせるんじゃない」

 龍星に窘められてぷうと頬を膨らませる毬。

「いいんですよ、失礼します」

 華は鈴のように軽やかに笑いながら、お茶を置いてその場を後にした。

 毬は雅之が連れてきた黒い子猫にそっと手を伸ばす。
 猫はとことこやってきて、いつものように毬の腕の中に納まった。

 自然、毬の口許は緩む。

「雅之、本当にありがとうっ」

「どういたしまして。
 毬が元気そうで良かったよ」

 雅之に言われて、毬はにこりと笑う。

「私はいつも元気だもん」

 嘘ばっかり、と思ったが雅之は言葉を呑み込み笑顔を返すに留まった。


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