砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「なるほど。
 で、何か分かりそうですか?」

 龍星は涼しい顔で問う。

「……いいえ」

 賀茂は力なく首を横に振った。

「木乃伊(みいら)取りが木乃伊になる、という言葉もあります。
 あまりあの男とは関わらないほうが宜しいのではないでしょうか。
 少なくとも、賀茂殿にはふさわしくない」

「それは、私の力が及ばないという意味ですか?」

 賀茂の声に怒気が孕む。

 龍星はまるで気圧される様子がない。
 それどころか、軽く微笑んですらいる。

「いいえ。
 お気に触ったのなら謝ります。
 ただ、顔色の悪さが気になったもので。
 賀茂殿のような方が、一介の陰陽法師に執着されるのはいかがなものかと」

「……っ」

 賀茂の顔が気色ばんだ。
 口から零れそうになる罵詈雑言を、なんとか理性で押しとどめる。

「これ以上詮索するのは止めていただけますか?不愉快です」

 龍星は、やれやれとため息を吐く。

「でははっきり申し上げましょう。
 道剣とはいかなる取引もされないことです。
 誰のためでもなく、ご自身のために」

 凛とした声が薄暗くなってきた空気を裂き切るように響いた。

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