砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「ま、まさかお前。裏で何か仕込んだか?
 毬を守るために鬼に魂でも売ったのか?」

 龍星は艶やかに微笑む。

「私は帝のために身を粉にして働いているのですよ。
 謂れのない暴言は心外ですね」

 帝はしばらく考え込んだ。
 このまま、龍星を伴って右大臣の元へと戻ってよいのか、と。
 自らさらに敵を一人、抱え込むことになるのではなかろうか。

 腹の奥が見えない陰陽頭は嫣然とした笑みを浮かべて、そこに居る。


 ……まぁ、龍星の目的は分かりやすいほど【毬】一筋なので、それが守れればはむかうこともあるまい。


 帝は腹を決めると、再び歩き始めた。
 
 その傍らに、腕は一流だがその心の底はまるで見えない怪物のような、それでいて惚れ惚れするほど美しい容姿を持つ、陰陽師を一人伴って。
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