砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
龍星は毬の艶やかな黒髪を、ためらいながら、しかし丁寧に切りそろえた。
「ありがとう、龍」
少し淋しげに笑ってみせる毬をみつめて、龍星は前髪の与える印象の大きさに目を剥かずにはいられなかった。
あどけなかった少女が、一気に大人になってしまった。
思わず抱きしめて、その唇を奪わずにはいられない。
折角可愛がっていたさなぎがいますぐ蝶になって飛び立っていきそうな幻想に、龍星は飲み込まれてしまう。
「龍」
もちろん、毬本人が急速に変貌を遂げたわけではないので、腕の中に抱き寄せられ驚くほど熱い唇付けをされたほうの毬は、いつものように戸惑いがちに首を傾げていた。
その変わらぬあどけなさにほんの少しだけ安堵して、龍星はようやく毬から手を放す。
「女房の着物は準備してあるから、着替えておいで。
今から来るのは、帝の側室になる予定、右大臣家の和子だ」
「私は何をすればいいの?」
「普通に振舞っていればいい。
この屋敷の女房であるかのように。
御簾越しだから姿を見られることはないだろう。
でも、もしも相手が毬のことを気に入ったら、入内の時にはお供しますと言うんだ。
出来る?」
「ありがとう、龍」
少し淋しげに笑ってみせる毬をみつめて、龍星は前髪の与える印象の大きさに目を剥かずにはいられなかった。
あどけなかった少女が、一気に大人になってしまった。
思わず抱きしめて、その唇を奪わずにはいられない。
折角可愛がっていたさなぎがいますぐ蝶になって飛び立っていきそうな幻想に、龍星は飲み込まれてしまう。
「龍」
もちろん、毬本人が急速に変貌を遂げたわけではないので、腕の中に抱き寄せられ驚くほど熱い唇付けをされたほうの毬は、いつものように戸惑いがちに首を傾げていた。
その変わらぬあどけなさにほんの少しだけ安堵して、龍星はようやく毬から手を放す。
「女房の着物は準備してあるから、着替えておいで。
今から来るのは、帝の側室になる予定、右大臣家の和子だ」
「私は何をすればいいの?」
「普通に振舞っていればいい。
この屋敷の女房であるかのように。
御簾越しだから姿を見られることはないだろう。
でも、もしも相手が毬のことを気に入ったら、入内の時にはお供しますと言うんだ。
出来る?」