砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「いかなる件であれ、都がきな臭いのは今に始まったことではないだろう?」
龍星は涼しい口調でそう言い、雅之を宥める。
曖昧模糊とした噂が飛び交い、魑魅魍魎が住まう世界。
それが京の都だ。
噂だけで人を失脚させることも出来るし、人が鬼になることですらここでは容易。
龍星は優しさを湛えた黒曜石の瞳を、真っ直ぐに雅之に向けた。
「そんな中で、俺にはお前という信頼できる友が居る。
誇りに思うぞ」
美丈夫の口から発せられる、躊躇いの無い率直な言葉に雅之は思わずかぁと頬を赤らめる。
「そうか」
一瞬、恥ずかしさに耐えられず視線を逸らす。
その後。
諦めて、真っ直ぐに凪いだ山中の湖面を湛えたような親友の瞳を覗く。
「俺もだ、龍星」
肉親がいつ刃(やいば)を向けるか分からない時代にあって、信頼できるものを見つけた二人は、珍しいほどに改まって互いの友情を確認しあった。
そうしないと、やっていられなかった。
実の兄に切りつけられた、毬の包帯を目の前にしては。
龍星は涼しい口調でそう言い、雅之を宥める。
曖昧模糊とした噂が飛び交い、魑魅魍魎が住まう世界。
それが京の都だ。
噂だけで人を失脚させることも出来るし、人が鬼になることですらここでは容易。
龍星は優しさを湛えた黒曜石の瞳を、真っ直ぐに雅之に向けた。
「そんな中で、俺にはお前という信頼できる友が居る。
誇りに思うぞ」
美丈夫の口から発せられる、躊躇いの無い率直な言葉に雅之は思わずかぁと頬を赤らめる。
「そうか」
一瞬、恥ずかしさに耐えられず視線を逸らす。
その後。
諦めて、真っ直ぐに凪いだ山中の湖面を湛えたような親友の瞳を覗く。
「俺もだ、龍星」
肉親がいつ刃(やいば)を向けるか分からない時代にあって、信頼できるものを見つけた二人は、珍しいほどに改まって互いの友情を確認しあった。
そうしないと、やっていられなかった。
実の兄に切りつけられた、毬の包帯を目の前にしては。