砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「鬼の正体、ご覧になったのでしょう?」
龍星の半歩前を歩きながら、千が口を開く。
落ち着いて良く見れば、確かに顔の作りは毬とそっくりだが、年齢のせいか大人びており、毬にはない艶やかな色気を放っていた。表情や仕草の一つ一つが、千が繊細であることを物語っている。
「桜の樹の下に、女の死体を埋めたのは、御台様なのですね」
龍星は無表情のまま、結果から口にした。
千は振り向いて、もの哀しい微笑を浮かべる。
「そうよ。鴨川の畔の桜があまりにも淋しそうに泣いていたから、木の下を掘り起こしたの。
ああ、きっと哀しい恋の成れの果てなんだわと想うと、放っておくことなんて出来なかったわ」
「あなたお一人で出来るはずがない」
千は龍星の厳しい視線から逃げ出すように踵を返した。
「桜の女を連れ込んだ日から、私の部屋に男が来るようになったの」
言って、部屋の前にたどり着き、白い指で簡単に護符を剥いだ。
躊躇うことなく部屋に入る。
部屋では雅之が静かに笛を奏でていた。
「あなたは……」
千はねっとりと熱を帯びた眼差しを雅之に向けた。
龍星の半歩前を歩きながら、千が口を開く。
落ち着いて良く見れば、確かに顔の作りは毬とそっくりだが、年齢のせいか大人びており、毬にはない艶やかな色気を放っていた。表情や仕草の一つ一つが、千が繊細であることを物語っている。
「桜の樹の下に、女の死体を埋めたのは、御台様なのですね」
龍星は無表情のまま、結果から口にした。
千は振り向いて、もの哀しい微笑を浮かべる。
「そうよ。鴨川の畔の桜があまりにも淋しそうに泣いていたから、木の下を掘り起こしたの。
ああ、きっと哀しい恋の成れの果てなんだわと想うと、放っておくことなんて出来なかったわ」
「あなたお一人で出来るはずがない」
千は龍星の厳しい視線から逃げ出すように踵を返した。
「桜の女を連れ込んだ日から、私の部屋に男が来るようになったの」
言って、部屋の前にたどり着き、白い指で簡単に護符を剥いだ。
躊躇うことなく部屋に入る。
部屋では雅之が静かに笛を奏でていた。
「あなたは……」
千はねっとりと熱を帯びた眼差しを雅之に向けた。