砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
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 それは、遠い遠い昔のお話。

 都のとある邸宅に住む見目麗しい女性がいた。
 仮に名前は桜としよう。
 当世一の美女と目された桜だが、身分は低く、とある屋敷で女中として働いていた。

 その屋敷には姫君がいた。
 仮に名前を椛(もみじ)とする。
 椛は桜と年が近かったが、自分の容姿が桜に遠く及ばないことに深く劣等感を抱いていた。

 劣等感を隠すこともせず、ことあるごとに桜にあたる椛。
 それでも、要領もよく、頭の回転も速い桜は、難を逃れて暮らしていた。

 そんな桜に恋をしたのが、椛の幼馴染でもある青年だった。
 家柄も申し分なく、剣の腕も確かで、帝の覚えも良い青年。

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