砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
 椛の父は、椛と青年が結婚することを願って青年をしょっちゅう家へと招いていたのだが、彼が恋したのは女中の桜のほうだった。
 最初は、青年に対して心を閉ざしていた桜だったが、青年の熱い思いにうたれ、二人は相思相愛に。

 それに気づいた椛は、桜に毒を盛る。

 夜這いに来た青年は、息も絶え絶えになっている桜を連れだした。
 逃げている途中、桜は息を引き取ってしまう。

 青年は、桜を川岸の桜の木の下に丁寧に埋め、涙が枯れるほど泣いた。


 その日以降、青年は、毎晩その桜の元へ通うのを自らの日課とする。
 苦手な笛の練習を重ね、亡き姫へ笛で自らの想いを夜な夜な伝えた。
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