砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
川岸の桜の樹から、無人の牛車で帰ってきた龍星と雅之は、いつものように酒を酌み交わすことにした。
が、病み上がりの毬もそこに加わるといって聞かなかった。
「それとも、毬は、邪魔?」
不安そうに龍星を見上げるその仕草は、捨てられた仔犬そのものだ。
黒目がちな瞳が、潤むように龍星を見つめる。
その眼差しに龍星は簡単に折れてしまう。
形の良い紅い唇で甘い笑いを浮かべ、『こちらへどうぞ』と彼女を招いた。
しかし、やはり疲れていたのだろう。
毬が龍星の膝の上に頭を乗せて眠ってしまうのに、そんなに時間はかからなかった。
「姫、ここで眠ると風邪を引きますよ」
最初はそう呼びかけていた龍星だが、何度か呼びかけている間にすっかり近しい言葉に代わってしまった。
「毬、寝床で寝ないと風邪を引くよ」
甘く、囁くように龍星が言う。
およそ、彼の普段の口調とは異なるのだが、それはそれでしっくりくるから不思議なものだ。
龍星の繊細な指先は、そっと毬の頭を撫でている。
それはむしろ、この場で眠り続けて欲しいようにさえ見えた。
が、病み上がりの毬もそこに加わるといって聞かなかった。
「それとも、毬は、邪魔?」
不安そうに龍星を見上げるその仕草は、捨てられた仔犬そのものだ。
黒目がちな瞳が、潤むように龍星を見つめる。
その眼差しに龍星は簡単に折れてしまう。
形の良い紅い唇で甘い笑いを浮かべ、『こちらへどうぞ』と彼女を招いた。
しかし、やはり疲れていたのだろう。
毬が龍星の膝の上に頭を乗せて眠ってしまうのに、そんなに時間はかからなかった。
「姫、ここで眠ると風邪を引きますよ」
最初はそう呼びかけていた龍星だが、何度か呼びかけている間にすっかり近しい言葉に代わってしまった。
「毬、寝床で寝ないと風邪を引くよ」
甘く、囁くように龍星が言う。
およそ、彼の普段の口調とは異なるのだが、それはそれでしっくりくるから不思議なものだ。
龍星の繊細な指先は、そっと毬の頭を撫でている。
それはむしろ、この場で眠り続けて欲しいようにさえ見えた。