砂糖菓子より甘い恋【加筆修正ver】
「龍星は夜になったら帰ってくる」

「知ってるわよ、そんなの」

 毬は拗ねた子供のようにぷいと顔を背けた。


 子供の扱い方どころか、女性の扱い方にも疎い雅之はこんなときどうすれば彼女を笑わせることが出来るのかわからない。

「毬、俺はどうすればいい?
 どうしたら、もっと楽しく過ごせるかな?」

 しかし、その困惑具合を一切隠さず正面切って本人に聞けることが、この男の魅力の一つだ。

 毬は吹き出した。
 笑うと一層あどけない。

「いいわよ、雅之は傍に居てくれるだけで。
 うん、一人で居るよりずっと安心。
 龍星だって、そう思ってるわよ、きっと」

 桜の散る頃知り合った毬だが、一月も経たないうちに名前を呼び捨てにしあうほど馴染んでいた。
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