My Story

10年前の春


          

          
丘野が丘高校に通う、竹橋真優(たけはしまゆ)。

多分、どこにでもいるJK(女子高校生)だと自分では認識してる。


丘野が丘高校はその名の通り、小さな丘の上に建てられた学校で、

夏になれば、その暑い日差しを木々が閉ざしてくれる。



冬になれば、葉が落ちた木々に白い雪の花を咲かせる。






そんなこの、丘野が丘高校が私は大好き。

1年の頃は、この学校に行く坂が大嫌いだった。


夏場はこの坂で暑さがさらに増す。

冬場は寒さで手が真っ赤になる。


でも、今じゃそれも含め大好き。











「真優、おはよ」

「勇姫っ!おはよ」












親友の峯田勇姫(みねたゆうき)。


全国トップクラスの吹奏楽部員で、1年の時からレギュラーメンバーで…

何がすごいって、勇姫の全部がすごい。


金管楽器のほぼ全ての楽器を扱えて、そのどれも群を抜いて上手い。









「真優、今年こそ一緒に大会出ようね」


「勇姫、今年も無理そうだよーっ」









あ。私も一応その吹奏楽部の一員です。

……万年、補欠要員だけど。








「そんな事ないって。

今年こそ大丈夫だって!一緒に演奏しようよ」


「勇姫…ありがと」



< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop