My Story
10年前の春
丘野が丘高校に通う、竹橋真優(たけはしまゆ)。
多分、どこにでもいるJK(女子高校生)だと自分では認識してる。
丘野が丘高校はその名の通り、小さな丘の上に建てられた学校で、
夏になれば、その暑い日差しを木々が閉ざしてくれる。
冬になれば、葉が落ちた木々に白い雪の花を咲かせる。
そんなこの、丘野が丘高校が私は大好き。
1年の頃は、この学校に行く坂が大嫌いだった。
夏場はこの坂で暑さがさらに増す。
冬場は寒さで手が真っ赤になる。
でも、今じゃそれも含め大好き。
「真優、おはよ」
「勇姫っ!おはよ」
親友の峯田勇姫(みねたゆうき)。
全国トップクラスの吹奏楽部員で、1年の時からレギュラーメンバーで…
何がすごいって、勇姫の全部がすごい。
金管楽器のほぼ全ての楽器を扱えて、そのどれも群を抜いて上手い。
「真優、今年こそ一緒に大会出ようね」
「勇姫、今年も無理そうだよーっ」
あ。私も一応その吹奏楽部の一員です。
……万年、補欠要員だけど。
「そんな事ないって。
今年こそ大丈夫だって!一緒に演奏しようよ」
「勇姫…ありがと」