ミックス・コーヒー
 すれ違う人々が自分を避けていることに気づいた。
 だが、それももはや好都合だった。

 ただ、この日から降り出した雨は厄介だった。
 もうあまり遠くには行けなくなってしまった。
 この日は、駅で他のホームレスに混ざって寝た。

 次の日も雨だった。
 この日に買った食糧を最後に、とうとう所持金が底をついてしまった。
 夕方頃に少し移動して、小さな商店街に着いた。
 治安はそれほど悪くはなさそうだったので、その夜はここで寝ることにした。
 ちなみに、翌日晴れたらバイトに雇ってもらえる所を探そうとも考えていた。

 だが、次の日、起きると思うように体が動かなくなっていた。
 ご飯をろくに食べていなかったせいもあるが、一番の原因は降り続いている雨にあったんだろう。
 雨は、この日も降っていた。



 通行人の声が、意識の向こうでかすかに聞こえた。
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