ミックス・コーヒー
   ④

 全てを話し終えた美葉と、全てを聞き終えた貴之達の間に沈黙の時間が流れた。

 最初に沈黙を破ったのは、尚樹だった。

「……ありがとう、美葉」

 その言葉に美葉が不思議そうな顔をして、尚樹を見る。

「約束、守ってくれたね」
 そして、美葉の頭の上にポンと手を置く。
 自分の頭からゆっくり離れていくその手を、じっと見つめている。



「これで、決まったよ。今、おまえの家は……貴之の家だよ」



 美葉の瞳がみるみるうちに大きくなる。

 こんな美葉の表情は今まで見たことがなかった。
 泣くのかも……と、貴之達が思ったすぐ後、とても可愛らしく微笑んだ。
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