ミックス・コーヒー

掌のぬくもり

   ①

 翌日、貴之達にはいつもどおりの生活が戻っていた。

 ただ、昨日までよりも、貴之はどことなく清々しさを感じていた。
 わだかまりが消えたような、そんな気がした。



「美葉ちゃん、コックさーん! 焼き鮭と白いご飯をくれ」

「シゲさん、どうしてもオレのことは無視ですか」

 常連客とのいつものやり取り。


「はい、かしこまりました」
 
 美葉の表情も、今日はとても和らいでいるように思えた。


 尚樹は、いつもどおりの笑顔だった。
< 106 / 366 >

この作品をシェア

pagetop