ミックス・コーヒー
   ⑤

 12時を過ぎ、あの男がやって来た。

「タカちゃん。来たよー」

「シゲさん」
 貴之が<待ち人>の訪問に振り向くと、そこには二人の男がいた。



 一人はもちろんシゲだ。
 もう一人は……。

「だいぶ前に連れて来たことがあったが、警察にいた頃の部下だった沢下だ」
 シゲが、親切に教えてくれた。

 沢下は「どうも」と爽やかに頭を下げた。
 たしか、貴之達より少し年齢は上だった。
 サラッとした黒髪の好青年だ。



「ちょうどよかったな、貴之」
 尚樹が、いつの間にかキッチンからカウンターの前に来ていた。
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