ミックス・コーヒー
   ⑥

 今夜の食卓はとても静かだった。
 尚樹は、食事を終えると今日は自分のアパートへと帰って行った。



「貴之、一緒に寝てもいい?」

「……いいよ」

 いつもは激しく断るのだが、今夜はそうする理由がなかった。
 
 美葉の表情は、不思議といつもと変わらないように思えた。
 そんなわけはないのだが……。

 貴之のベッドに潜り込む彼女は、心なしか嬉しそうだった。

 電気を消すと、美葉の存在をよけいに近くに感じた。
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