ミックス・コーヒー
「うっ、美味い!」
 ミクリが、感激のあまり声を上げた。が、少し意外なセリフと声の大きさに貴之は一人、肩をビクつかせる。

 一方、至って平然とした様子の美葉が「これ、尚樹の料理」と教えてあげる。
 
 ミクリは、尚樹の方を見てしみじみと言った。
「こんな美味しい料理、なかなか食べれませんよ! 本当にすごい……」

「私達いつも、こんな美味しい物食べてるの。いいでしょ」
 美葉がいたずらっぽく笑う。彼女のこんな表情は、貴之達には初めてだった。

「うん。だから、美葉、元気なんだね。美味しい物たくさん食べてるから」

 ミクリが優しく微笑む。
 そして、貴之と尚樹の方を向いて「あたし達、十年ぶりくらいに会ったんです」と言った。

「そ、そんなに久しぶりだったの?」
 貴之が驚く。
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