ミックス・コーヒー
沢下が白いビニール袋をカウンターに上げる。
ずしん、と音がした。
「生臭っ!」
思わず、貴之が仰け反る。
「今日はお土産に、実家の青森から送られてきたホタテを持って来たんですよ」
「ほ、ホタテですか?」
「はい、家で養殖しているんです。ここのお店は、喫茶店なのにどうやら魚介類も扱っているようなので、ぜひ、と思いまして」
「いや、サンマだの鮭だのを注文するのは、おたくの先輩のみなんですけど」
「えっ、そうなんですか? 僕はてっきりそれがこの店のウリかと……」
「ウリかどうかはわかりませんが、とりあえずありがたく頂きます。おそらく、大喜びするお客さんがいると思うんで。ちなみにその方のイニシャルはたぶんSです」
沢下は「それは良かった」と爽やかに笑った。
本当に掴みどころのない男だと、貴之は思った。
ずしん、と音がした。
「生臭っ!」
思わず、貴之が仰け反る。
「今日はお土産に、実家の青森から送られてきたホタテを持って来たんですよ」
「ほ、ホタテですか?」
「はい、家で養殖しているんです。ここのお店は、喫茶店なのにどうやら魚介類も扱っているようなので、ぜひ、と思いまして」
「いや、サンマだの鮭だのを注文するのは、おたくの先輩のみなんですけど」
「えっ、そうなんですか? 僕はてっきりそれがこの店のウリかと……」
「ウリかどうかはわかりませんが、とりあえずありがたく頂きます。おそらく、大喜びするお客さんがいると思うんで。ちなみにその方のイニシャルはたぶんSです」
沢下は「それは良かった」と爽やかに笑った。
本当に掴みどころのない男だと、貴之は思った。