ミックス・コーヒー
 貴之が切り出す。
「ところで……」

 だが、それは沢下の声に消される。

「美葉さんも、ホタテ食べてくださいね。ホタテはとにかくすごく良いですから」
 
 美葉は、少し離れた所でまた会釈する。

「……沢下さん、あなたさっきからホタテばっかりですけど、今日は他に何かあったんじゃないんですか?」

 貴之はいい加減苛立ってきたので、多少毒づいてみた。
 別に、ホタテには恨みはない。

「ああ、そうでした。実はですね、菅浦エリカが行方不明なんです」


「菅浦、エリカ……?」


 貴之の脳裏に、おぞましい記憶が蘇る。

「伊藤さん? どうしたんですか。そんなに脅えて」
 沢下が、不思議そうに貴之を見ている。

「……いや、気にしないでください。マジで。ところで、行方不明ってどういうことですか」
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