ミックス・コーヒー
「その男の名前、わかる?」
 貴之の代わりに、尚樹が尋ねる。

「タシカ、川村サン」

「川村か……。あと、何かある?」

「アタシヨリ、アッチノよし子サン、パディサント仲ヨカッタ。一緒二住ンデタ」

 貴之達は、李が視線を向けた方にいる女性を見た。
 金髪に近い茶髪の長い髪を、アップにしてまとめている女性。
 歳は20代後半くらいか。
 割とシンプルな顔立ちだった。

「一緒に住んでた友人って、同僚だったんだ」
 尚樹が自分で確認するように、そう漏らした。

「んで? そのよし子さんの本名は?」

「よし子」

 李が、キッパリと答えると、貴之は固まってしまった。

「よし子さんだけ本名なんだ……」
 貴之は、その女性を見ながら呟いた。
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