ミックス・コーヒー
   ③

 やがて、李は別の客に呼ばれたようで、貴之達の席から離れていった。
 それから、五分程してから<よし子>がやってきた。

「あなたが、貴之くんね」
 よし子は、李から話は聞いていたようで、案外親しげに話しかけてきた。

「あなたのことは、李ちゃんと、それから……エリカからいろいろ聞いているわ」

「……そうですか」
 そう答える貴之の声は、妙に小さい。
 尚樹は、思わず横の貴之の顔を覗いた。

「エリカさんとは、いつから会っていないんですか?」
 尚樹の視線を振り切るように、貴之はハッキリとした口調でよし子に質問する。

「……先週の月曜日……だから、九日前ね」
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