ミックス・コーヒー
「その日のエリカさんの様子は?」
 更に貴之が聞く。

「普通だったわよ、いつもどおり。……なのに、次の日から、突然帰ってこなくなったの」
 よし子がうつむく。彼女のサイドの髪がふさっと揺れた。

「……エリカさんの行き先に心当たりとかはないんですよね」

「警察にも聞かれたけど、エリカ、実家にも帰ってないんでしょ? 古亭路美鈴の家も燃えちゃったし。もしかしたら、男の家……とかかもしれないけど」

「そういう人、いたんですか?」

「貴之くん。あなただから言うけど、もともとエリカは男と金はちょっと荒かったの。でも、最近はあの子、貴之くんのことばっか話してた。結構、マジだったみたいよ」

 貴之の言葉が一瞬詰まる。

 しかし、すぐにそれを取り直した。
 そして、核心にせまる。

「……よし子さんは、今回のことをどう思ってますか?」
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