ミックス・コーヒー

「ああ、言ってたわね……詳しいことは全然教えてくれなかったけど。お金が入ったら思いっきり飲もう、って言われたわ。そういえば、その話をし始めたのと、川村さんが店に来るようになったのと、だいたい同じくらいだったかも……」

「そうなんですか？　だいたいいつ頃ですか？」

「うーん、二ヶ月くらい前かな」

　貴之は「そうですか」とだけ言い、再び黙りこくった。

　そして、よし子から聞くべきことは聞いたと判断し、少しだけ姿勢を正した。
「……よし子さん、どうもありがとうございました。忙しい中、いろいろ聞かせていただいて」

「いいえ。警察のことはあんまり信用していないけど、貴之くん達にはいろいろ話しておきたかったから、今日会いに来てくれてよかったわ」
　よし子は少しだけ微笑んだ。

「エリカは……不器用で、素直に甘えたりとかそういうのが出来ない子なの。いろんな男と付き合ったみたいだけど、いつも上辺だけで、心から愛し合った人はいなかったみたいで。でも、貴之くんの話をしている時のエリカはすごく楽しそうに笑ってたわ」