ミックス・コーヒー
「あ、もう12時だ。ミクリ、明日は?」

「……11時から撮影」

「そっかあ。そろそろ帰る?」

 尚樹の言葉に、ミクリは歯切れの悪い返事をした。

「うん? ミクリ、どうした」

「……尚樹くん。今日、泊まってもいい?」


 亀越しに、ミクリが上目づかいで尚樹を見ている。

 その表情は、結構大きい亀のせいでよく見えなかったが。

「……いいよ」

 尚樹が答えると、ミクリは嬉しそうに笑みを浮かべて顔を上げた。



 可愛らしすぎるミクリを前に、尚樹は複雑な心境だった。
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