ミックス・コーヒー
「信じられねえよ……つい、さっきまで一緒にいたんだ。いつもどおり話して、いつもどおり笑って……。美葉も見てたろ? ミクリ、ちゃんといたろ?」


 うん、うん、と、美葉が頷く。


「今朝なんてさ、あいつ米といでくれたんだよ。すんげぇ一生懸命でさ。米の先削れて丸くなっちゃって。言わなかったけどな。だって、ホント……おいしかったんだよ」

 尚樹が、美葉の両肩を掴みながらゆっくりと顔を上げる。

 尚樹の強く閉じた瞳からは、涙が絶えず溢れては流れ、溢れては流れ……かすかな明かりに照らされ、少しだけそこが夜空のあの星へと反射していた。
 
 わずかに開いたその口から、変則的な呼吸につられ、彼らしくもない不安定な声が漏れる。

 
 美葉の肩には、尚樹の指がめり込みそうだった。
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