ミックス・コーヒー
「おれ、どうしたらいい? ミクリが……ミクリがいなくなっちゃったら、おれ、もう強くなれねえよ……」

 尚樹はそのままベンチの上に倒れこんだ。



「尚樹」

 美葉の手のひらが、尚樹の左頬に触れる。


「ミクリは、何年もずっと会ってなかったけど、いつも私のそばにいてくれたよ」


 尚樹が、徐々に体を起こす。

「なんかね、ずっと私、友達ができなかったけど、不思議とそんなに淋しくなかったし、それにいざという時には勇気もくれたの。私を、強くしてくれたの」
 
 美葉の話を、尚樹は不思議そうに聞いていた。


「私の中に、ミクリはずっといたんだよ」
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