ミックス・コーヒー
   ②

 ふと、背後の入口に人の気配を感じ、振り返る貴之。

「……ハ、河内さん」


 呆然、とした様子で立ちすくんでいる河内心蔵がそこにいた。


 一歩、一歩。
 まるでロボットのようにシブい動きで、ミクリのベッドの前までどうにか足を進める。

「ミクリちゃん……」
 河内はそう呟くと、その場に倒れこんだ。

「なぜ、なぜだ! なぜ、この子がこんなことに……!」

 それは叫び声にも、うめき声にも聞こえた。



「河内さん」

「……美葉ちゃん」
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