ミックス・コーヒー
「ミクリは、大丈夫です。手術も成功して、命を取り留めました。あとは意識が戻るのを待つだけです」

「そうか……!」

 河内は、美葉の両手を自分の両手で強く握り締めた。

 美葉が露骨に嫌そうな表情を浮かべる。

 だが、河内はうつむいている上に、目をしっかりと瞑っていたため、それには気づいていない様子だ。

 貴之は、それを見て内心ヒヤヒヤしていた。

「しかし、一体誰がミクリちゃんを……」
 河内は震えている。
 怒り、のせいのようだ。

「そのへんは、まだ」
 貴之が答えると、河内が突然顔を上げた。

 弾みで緩んだ彼の手から、逃げるように美葉がすっと身を引く。

「警察は、何をしてるんだ」

「凶器のナイフを、今鑑定しているところだと思います……」

 河内の勢いに、貴之が思わず竦む。
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